審判をするようになり、何試合か経験するようになった頃、先輩からこんなことを言われました。
「外野への飛球を判定しに行くときには、『ゴーアウト』って声を出すんだよ」
審判を始めたばかりの私は、「アウト」「セーフ」くらいしか声に出していなかったと思います。
そのため、
「ゴーアウトって、一体何のことだろう?」
と思いました。
でも、当時の私は、その意味を詳しく聞く余裕もありませんでした。
審判を始めたばかりで、覚えることがたくさんあります。
先輩に教えてもらったことを一つずつ覚えるのに精一杯だったので、とにかく言われたとおりにやってみることにしました。
外野への飛球が上がるたびに、
「ゴーアウト!」
と大きな声を出して、打球を追って判定していました。
「ゴーアウト」って、どういう意味?
では、「ゴーアウト」とは何なのでしょうか。
簡単に言えば、
「この打球は私が判定しに行きます」
ということを、ほかの審判員に伝えるための声です。
「アウト!」と判定を宣告しているわけではありません。
ここが、審判を始めたばかりの人には少し分かりにくいところだと思います。
審判は一人で試合を見ているわけではありません。
複数の審判員が、それぞれ担当する場所や役割を分担しながら試合を進めています。
そのため、外野に打球が飛んだときも、
「誰がその打球を見に行くのか」
を審判員同士で共有する必要があります。
そこで、「ゴーアウト」と声を出します。
なぜ声を出す必要があるの?
初心者の頃の私は、
「打球を見れば、どの審判が行くのか分かるんじゃないの?」
くらいに思っていました。
でも、実際に審判をやってみると、そう簡単ではありません。
打球は一瞬で飛んでいきます。
しかも、試合中はランナーの位置や守備位置など、いろいろなことを同時に確認しなければなりません。
もし審判員同士が同じ打球を追ってしまったら、その間に別のプレーを見られなくなってしまいます。
逆に、誰も打球判定に行かなければ、重要なプレーを正しく判断できなくなってしまいます。
だからこそ、
「自分がこの打球を見に行きます」
ということを声に出して伝えることが大切なんです。
「ゴーアウト」という一言は、審判員同士の連携のための大切な声かけなんですね。
試合前の「クルーミーティング」も大切
審判員同士のコミュニケーションは、試合中だけではありません。
試合前には「クルーミーティング」といって、その試合を一緒に担当する審判員同士で、動き方などを確認します。
例えば、
- 誰がどの打球を担当するのか
- ランナーの状況によって、どのように動くのか
- それぞれの審判員がどこを責任エリアとするのか
といったことを、あらかじめ確認しておきます。
試合が始まってから、
「この打球は誰が行く?」
と相談することはできません。
だからこそ、試合前に確認しておくことが大切です。
そして、実際に打球が上がったときには、
「ゴーアウト!」
と声を出す。
これによって、審判員同士が自分の動きを伝え合い、それぞれの責任を果たすことにつながります。
最初は意味も分からず声を出していました
とはいっても、審判を始めたばかりの私は、そんなことまで考えていませんでした。
先輩から、
「ゴーアウトって言うんだよ」
と教えてもらったので、
「はい、分かりました!」
という感じです。
そして、外野に打球が飛ぶたびに、
「ゴーアウト!」
と、とにかく大きな声を出していました。
そのうち、先輩から、
「大きな声が出ていてよかったね」
と言ってもらえるようになりました。
これが、けっこう嬉しかったんです。
それからは、
「誰よりも大きな声でゴーアウトを言おう」
と意識するようになりました。
今でも瞬時に声が出ないことがあります
ただ、今でも打球が上がった瞬間に、すぐ声が出ないことがあります。
特に、予想していなかったところに打球が飛んだときなどは、
「自分が行くのか?」
と、一瞬迷ってしまうことがあります。
審判を始めたばかりの頃は、それがもっと多くありました。
でも、試合を何度も経験していると、
「このケースは自分が行く」
「ここは自分の責任ではない」
ということが、少しずつ分かるようになってきます。
最初から完璧にできる必要はありません。
私自身も、何度も失敗しながら覚えてきました。
審判は「声」でも連携する
審判を始める前は、
「審判はアウトやセーフを大きな声で宣告する人」
というイメージがありました。
でも、実際にやってみると、それだけではありません。
審判員同士が、声や動きでコミュニケーションを取りながら試合を支えているんです。
「ゴーアウト」という一言も、最初は意味が分かりませんでした。
でも、経験を重ねた今では、その一言が審判員同士の連携にとって大切なものだと分かります。
これから審判を始める方も、最初からすべてを理解しようとしなくて大丈夫だと思います。
先輩に教えてもらったことを、まずはやってみる。
そして、試合を重ねながら、
「なぜ、この声を出すんだろう?」
「なぜ、この動きをするんだろう?」
と考えていけばいい。
私もまだまだ勉強中です。
でも、最初は意味が分からなかった「ゴーアウト」という一言にも、ちゃんと理由がありました。
審判を続けていくと、こうした小さな「なるほど!」が少しずつ増えていく。
それも、審判の面白さの一つなのかもしれません。


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